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「九条の会」奈良

渡辺治さんの講演レジュメ「安倍政権の改憲と日本のゆくえ」

安倍政権の改憲と日本のゆくえ

ー改憲を阻む国民的共同を-

「九条の会」奈良・「条の会」奈良県ネットワーク主催憲法講座

 20140506 渡辺治

 

 はじめに

 安倍政権とはどんな政権なのカー集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法、武器輸出3原則廃棄

 戦後歴代政権の中で、初めて、中国に対峙するアジアの軍事・政治大国めざす政権

 場合によっては、アメリカのいやがることもいとわない政権

1 安倍政権はなぜ改憲をめざすのか?

2 安倍改憲は、どうやって改憲を強行しようとしているのか、どんな日本をめざすのか

3 対抗する運動の課題ー改憲を阻む国民的共同を作るには何をしたらよいのか

 

1 安倍政権は、なぜいま意法を変えようとしているのか?  

一国民の運動が、憲法を守って軍事大靴を阻んだから-

1)いまなぜ改憲をめざすのか?

a)安倍改憲は、90年代以降の24年の執念(資料1

b)冷戦終焉後の改憲第2の波一現代改憲の台頭

  90年代冷戦終焉以降、アメリカの圧力

  アメリカの覇権にしたがう世界づくり

  「ともに血を流せ人 自衛隊の海外派兵と共同軍事行動の要請

  海外派兵には憲法9条が障害物として立ちはだかった

c)自民党政権は、ほんとうは9条をなくしたかったのにー安保闘争で改憲頓挫

  安保は、戦後初の国民的共同の闘い

  平和と民主主義の声が保守をも巻き込んだ-519の強行採決以後の闘いの昂揚

  改憲と復古主義の政治の断念一以後30年、自民党政権、憲法の下での政治余儀なくされる

d60年代以降、憲法の下で、安保体制と自衛隊の維持・存続はからざるをえなくなった

  解釈で自衛隊維持、増大はかる

  ー固有の自衛権、自衛隊は「自衛のための最小限渡の実力」だから9条に違反しない

  しかし運動の力で、自衛隊の活動はがんじがらめに縛られた

  3つの力ー平和連動、自衛隊違憲訴訟、国会での共産党、社会党、公明党の追及

  自衛隊の活動に架せられた、9条の足枷

  ・攻撃用兵器は持てない、海外派兵はできない、

  ・今、話題の集団的自衛権も行使できない   

    「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、 

   自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力で阻止する権利

 ・武力行使しなくても「武力行使と一体化した活動」はできない 

 ・非核3原則、防衛額GNP比1%枠、秘密保謹法のない日本

  これでは、アメリカの要請に応えられない

2)90年代以降、自民党政権はどうやって憲法を変えようとしたか?

a)解釈改憲で、しかも政府解釈前提でー60年安保の悪夢の再来、恐れた

  解釈改憲、しかも既存の政府解釈を前手にしたすり抜けで自衛隊の海外派兵をめざす

  小泉政権の下、自衛隊のインド洋派兵、イラク派兵の強行

  自衛隊のイラク派兵は、「派兵ではない派遣だ」、「イラクは戦場ではない」

  小泉政権による自衛隊のイラク派兵と解釈改憲の限界

  イラクの自衛隊は、イラク国民に銃を撃たなかった

b)明文改意の台頭と挫折

  九条の会運動の力(資料2)、市民運動の昂揚でまたも挫折 

  第2次安倍政権はリベンジ

 

2 安倍政権はどう改憲を実現しようとしているか、どんな日本をつくろうとしているのか?-「戦争する軍隊」づくりから「戦争する国」づくりへ~

1)第2次安倍政権の改憲をめぐる新たな状況と新戦略

 (a)オバマ政権の世界戦略、アジア戦略の新段階-2つの戦略転換

  直接介入主義への反省「肩代わり路線

  アジア重視戦略、対中国の二面戦略、中国を刺激しない

 (b)アジアの諸国、日本国民の明文改憲への警戒

 (c)改憲新戦略一明文、解釈故意の同時遂行

   「戦争する軍隊」づくりは解釈改憲で一解釈改憲でやれるところを片付けて、あとから明文改憲

2)安倍政権の解釈改憲のもくろみと困難

 (a)既存解釈では、自衛隊の海外での武力行使できないという限界を打破

  安保法制懇の報告(資料3)を受けて、夏に集団的自衛権行使容諷の解釈改憲

  秋の岳時国会で自衛隊法改正、周辺事態法改正→日米防衛協力のガイドラインの改定

 (b)「戦争する軍隊」の実質づくりも 

 去年12月「防衛計画の大綱」再改訂で、侵略軍隊化ー適基地攻撃能力、海兵隊機能(資料4

 (c)日米共同作戦、戦争する軍隊づくりに不可欠な秘密保護法も、日本版NSCも制定

 (d)安倍政権の誤算

  秘密保護法反対運動の昂揚一協力した公明党、維新の会も動揺、マスコミも反対に

  集団的自衛権の解釈による容認への批判の声と動揺

  「公明党の動揺、内閣法制局長官経験者の反乱

   自民党派閥嶺袖の批判 

e)集団的自衛権行使部分容認論の登場    

 自国と密接な関係ある外国が攻撃され、放置すれば我が国の安全に重要な影響を与える場合‥・ 危険性は変わりない!

3)安倍政権は解釈改憲に止まらない、明文改憲に突き進む

a)オバマ政権は、解釈改憲で自衛隊が米軍の手足となればいい 

 しかし安倍は大国めざし、明文改憲への執念、自国の判断で軍事介入できる国への野望

b)いざ戦争するには憲法全体を改変しなければできない

  戦争しない国を前提した憲法の根本的転換の必要 

 一自民党改憲草案は「戦争する国」の姿(資料5

  秘密保護法制、軍法、軍法会象、戦死者に対する公的慰霊、緊急事態規定、反戦運動や言論規制

  改憲のための国民投票法改正、今国会へ

c)集団的自衛権が部分余蕗印論になった場合、全面的な集団的自衛権には明文改憲が不可欠(d)改憲手続法の改正が、8党派共同で国会へ

  これさえ通れば改憲案は発議できる

 

3 故意を阻む国民的共同をつくるには何をすればよいのか

1)安保闘争の教訓と、異なる国民的共同の新たな条件

a)安保闘争の教訓を改めて学ぶ2つの教訓

  安保改定阻止国民会議による社共共闘の力、それを主導した総評労働運動

  平和と民主主義の声の合流一意法擁護立憲主義、民主主義

b)安保闘争とは異なる共同の条件一革新政党の議席減少、ナショナルセンターの分立

c)新しい共同の条件-5つの新しい可能性

  地域の運動の力量、保守の安倍政権に対する危倶と離反、市民運動の力の増大、女性の力   中高年の力

2)「九条の会」がつくった、国民的共同のための5つの教訓

a)9条改憲反対の一点で結びつく一徹底した自主性、多様性の尊重

b)市民運動と政党政派、労働組合の声が共同

   90年代以降の市民運動の力 

  政党政派の垣根を越える共同の取り組み

e)一点で良心的な保守の人々とも共同

  保守勢力は3段階で自民党政権から離反

  自衛隊の海外派兵一後藤田、野中、加茂市の小池市長 

  自衛隊の海外での武力行使は許さない、戦後保守政治の路線ー柳澤、河野洋平

  立憲主義を踏みにじって行う戦後の路線からの変更は許さなし一内閣法制局長官経験者  私たちの働きかけで、保守の人々は立ちあがる

d)地域を根城にした運動 

 地域に根付き、地域の組織化を果たした九条の会「地域、職域九条の会を核に(資料6

 地味を根城にした共同の特徴一点共闘には止まらない面の共闘(原発、平和、TPP

 自治体の首長、轟会への働きかけで、自治体ぐるみの共同を

ー東北6県市町村長九条の会、秘密保護法廃止等決議、125議会

e)新たな参加者一中高年、女性の参加と中心

3)国民的共同への課題

a)若い世代がどう立ちあがるか、新たな参加の輪をどう広げるか

 (b)改憲反対の原点と共同

  九条の会はあくまで、改憲に反対する点での共同、この運動あってこそ、立憲主義の蹂躙に反対する声も大きくなる

 

むすびに代えて

 戦後日本の岐路、解釈による改憲許したら70年守ってきた武力で国益を押しつけない、という戦後日本の伝統は覆される 平和と民主主義の声を合流させよう -秘密保護法反対運動はなぜ盛り上がったか、平和と立憲主義蹂躙許さない

 

参考文敢 1 渡辺治『姶r安倍政権の改憲・構造改革新路線』旬報社 

    2 九条の会学習記録 前泊博盛・渡辺治『F戦争する国への暴走を止める』九条の会

 

 

 

 



by 9jo-nara | 2014-05-07 10:04
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